住記屋

図面を書く意味

 
 
以前業界の方ではなく、一般の方とお話をしていた際、

「住宅の設計では、基本設計(1/100スケールの図面)が決定してから

実施設計(より詳細な設計)に入るのですが、

一般的な規模の住宅で図面にしてA2で70~80枚程度、

実施設計だけでも時間にして最低3ヵ月はかかります。」

というお話をしました。


その時に言われたのですが、「そんなに時間が掛かるんですか?

じゃあ、1ヶ月で書いた図面で造った家と

3ヵ月かけて書いた図面で造った家は何が違うんですか?」と・・・。


思いもよらぬ質問でしたが、確かに仰る事はよく分かります。

正直言って、基本設計の図面だけでもその図面を元に

工務店に施工を頼めば「それなりの家」はできます。

しかし、「それなりの家」では住まい手を幸せにする自信がありません。


図面を書くとは、あらかじめ検討すること。

建築、構造、設備に関わるすべての部分、細部に至るまで検討し、

図面化しようとすれば、その作業は無限にあります。

しかし、建築設計には期限もあるのである程度で実施設計を

終えなければいけません。

私の場合、この図面で家を造れば大丈夫と自信を持てるようになった時、

それが実施設計終了であり、それまでには最短でも3ヶ月は掛かって

しまうのです。


住宅設計とは、住まい手の生活を預かるという大変責任の重い仕事です。

当然ですが、自分が自信を持てる図面でなければ

自信の持てる建築など造れず、責任も果たせません。

最終的にはそれが住まい手の幸せに繋がるのではないかと思っています。



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