住記屋

素形の建築

 
ブログでもご紹介している無名の建築は
 
小屋という最も単純で根源的な建築にスポットを当てています。

無意識の美、普遍的な美、極限まで削ぎ落とされた

その潔さは私を魅了し続けます。

それは古来からある日本の「侘び」という心に通じるのかもしれません。


私は設計を初める前に必ず予算配分書を作成しています。

設計者は予算に合わせた建築を設計する義務を背負います。

予算に合わない建築を設計したとしても絵に描いた餅でしかありません。

多くの夢を持っている施主の希望を叶えたいという思いは

当然持っていますが、設計者は限られた予算の中で何が実現できるのかを

探らなければいけません。

建築の設計とは決断の連続だと以前書きましたが、

設計者と施主は対話を重ねながら総予算の中で優先順位を決めたり、

取捨選択を行わなければいけません。

しかしこの過程は、「自分の家には何が一番必要なのか?」

「自分にとっての家とはどのような意味を持つ場所なのか?」ということを

原点に帰って考える良い機会だと思います。

家は何十番目、何百番目に必要なことまで実現できたら豊かな家になる

というモノではありません。例えローコストの住宅であろうと、

「一番必要なこと」は実現できるはずです。


このようにして造られた潔い家こそ私を魅了し続ける小屋のように、

根源的な美、普遍的な美を備えた姿を現してくれるはずです。

関連記事Related article

ページの先頭に戻る